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収穫者たち:ブドウ栽培労働の隠れた部分を描く写真展
「収穫」と名付けられたリチャード・ブリマー氏の写真展はヘイスティングのブドウ畑と農場で働く多様な季節労働者たちのありのままの姿を捉えている。一般の視野からは見らことのないブドウ栽培の側面に焦点を当てた8つのセクション構成された50枚の作品が展示されている。土と共に働き、果物を収穫する人々の姿が映し出されている。

ホークス・ベイはブリマー氏が産まれ、育った土地だ。19歳の時にヘイスティングのヴィダルのワイナリーで彼の最初の収穫体験をし、翌年はサークレッド・ヒルで働いた。彼曰く、「ヘイスティングを出るのを忘れてしまった。」ヘイスティングで30年近く写真家としての人生を築き上げ、これまでに14冊の写真集を出版し、そのうちの3冊がワイナリーを捉えた写真だ。

ワイナリーの労働は厳しい。スーパーマーケット、夕食のテーブル、セラードアーからも遠いところで照り付ける太陽の下での労働。写真展で描かれる人物は多様な人々だ。逞しい地元住民のみならず、様々な背景を持つ人や多様な人種の労働者がこの土地に毎年やって来る、2018年は16か国から11000人の労働者が働いていた。たいていは、臨時労働者の保護と不法長期滞在防止で制定された認定季節労働者プログラムを通してニュージーランドに来ている。

ヨーロッパやアメリカ同様、地元労働者数が不足する環境で、底辺で働く季節労働者が経済を支える傾向が年々上昇している。これは、変動しない賃金、過酷な労働条件、都市化の上昇が原因と言われている。しかも地元の若者は夏季の果物収穫をしたがらなくなっている。

同時に生産者としての高度な能力を持つ人が求められている。ホークスペイの第一次生産はもはや家族だけでは出来るものではない。これまでにない程、大企業、安全、健康面、高級ブランド、最高の産物を扱うビジネスとなり、特殊技能を持つ労働者が働く場となってきている。しかし、こういった需要に応じる労働者は往々にして、その労働に見合うだけの給与が与えられない。

ブリマー氏の写真には普段なかなか見られない被写体が映し出されている。ニュージーランドのマオリとヨーロッパ系の白人労働者がドイツのバックパーカーと働き、白いターバンを巻いたシーク派の労働者と肩を並べ、バヌアツからの労働者たちと共に働いている。そこには普段目にすることのない崇高なものが描き出されている。敬意の念。そこには何の衒いもない。被写体の人物を真っ向から写し、その中にはユーモアさえ感じられる。直接の関係性と個性が彼の映し出す写真に共通してかもし出されている。

労働者たちがホークス・ベイでの一シーズンの労働からの5年分の給与に相当する額を家に持ち帰ることが出来る。ブリマー氏はこういった労働と経済的な側面も見逃していない。展示写真の中で、彼はホークス・ベイで働き、バヌアツに戻った労働者を彼らの故郷に訪ね、稼いだ金を教会建設や年老いた家族のための介護に支出した人も映し出している。労働者全員が善行をするわけでないが、そういった事実を写真に撮れたのは偶然ではない。住み慣れた故郷を離れてまで過酷な労働をする人が存在する理由を私達に思い起させてくれる写真だ。こういった詳細な事実を映し出すのは、今のホークス・ベイの社会の暦を作り上げている素晴らしいディナーや煌びやかなイベント一杯のワイン・ツーリズムという華やかな現象と経済の現実との乖離を思い起こさせる。

この写真展「収穫」では、多様な参加団体、労働者、苦難、ユーモアを捉えしつつ、関連業務をする人々のプライドや彼らひとりひとりのストーリーを分ち合おうという気持を捉えている。「こういった人々は必要だ。素晴らしい仕事をしており、彼等の努力を愛を持って顕彰すべきだ」とブリマー氏は語る。

ホークスペイでは、労働者とツーリストが大波のように例年訪れてくる。今年のクルーズ船はもうネピア湾に停泊し始めている。そして、ブドウ摘みの労働者用の宿泊施設もまた多忙な季節ように準備が進められている。


「収穫」は2020年3月までヘイスティング市アートギャラリーで現在開催中。

<ニュースソース>
https://thespinoff.co.nz/art/04-12-2019/the-harvesters-a-photo-exhibition-showing-the-hidden-side-of-horticulture/

28.01.2020

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