ワインコラム
HOME > NZワインの魅力(コラム) > 第200回 ニュージーランドワイン試飲会レポート
去る6月3日、六本木のリッツカールトン東京にて行われた、年に一度のニュージーランドワイン試飲会にお邪魔してきました。

この試飲会、ニュージーランドワイン倶楽部が主催しており、共催にはニュージーランドワイングローワーズと在日ニュージーランド大使館商務部が名を連ね、輸入元や生産者など出展社数35社、300種類以上に及ぶ出展ワイン(業務プロ向け商談会)という、かなり大規模なもの。会場となるのが一流のサービスを誇るホテル、リッツカールトンというのも、なかなかの意気込みが表れていますね。

私はお昼過ぎから行われた、業者向けの試飲・商談会の方に参加してきました。
最初に訪ねたのはワイヘキ島の“マン・オー・ウォー(Man O’ War)”や、セントラル・オタゴの“ギブストン・ヴァレー(Gibbston Valley)”を扱うリブ・コマースさん。こちらでは今回、日本初上陸というマールボロの“アンツフィールド(Auntsfield)”のワインも紹介していました。このワイナリー、マールボロで最も古い葡萄畑を有しているそうです。ソーヴィニョン・ブランシャルドネを試させていただきましたが、両方とも少し厚みのある印象、特にシャルドネは、結構リッチなスタイルだった様に思います。
インポーターさんも日々、良いバリューを持つ新たなワイナリーの発掘に余念がないのでしょうね。ニュージーランドワインの懐の深さを感じるとともに、こうした良いワインを紹介していただけるインポーターさんの努力にも、頭が下がります。

次は“グラッドストーン・アーラー(Gladstone Urlar)”というワイララパのワイナリー。西酒販というところが出展していますが、こちらの親会社は芋焼酎の宝山などを手掛ける鹿児島の西酒造。そしてこのアーラーワイナリーは現在、ネルソンで自身のワインも作っている日本人醸造家、小山浩平氏を栽培醸造経営責任者に迎え、西酒造のオーナーシップにより運営されているそうです。ワイナリーではバイオダイナミック農法でぶどうを育てており、オーガニックの認証も得ています。日本の酒造の第一線で培った経験や技術、考え方などが、今後どの様にニュージーランドでのワイン造りに反映されていくのか楽しみですね。

同様、日本人が経営に関わっているのが、セントラル・オタゴの“ボールド・ヒルズ(Bald Hills)”。三田ホールディングスという、様々な事業を展開する会社の一部門として、このワイナリーを14年に取得。ワイン造りに関わったという16年ヴィンテージは、かなりしっかり目のピノ・ノワールでした。現在、オーガニック認証の取得を試みているようです。
いまや日本人醸造家や日本人オーナーが、多数ワイン造りに携わっているニュージーランド、このあたりも日本での存在感をアピールするポイントになりそうです。

ジェロボームさんのブースでは、“ドッグ・ポイント(Dog Point)”や“ソーホー(SOHO)”など、現地でもよく見かける顔ぶれが並びます。オークランドの“クメウ・リヴァー(Kumeu River)”が手掛けるブランド、クメウ・ヴィレッジのピノ・グリなんて、出来栄えの割りに価格も手ごろで、現地にいるときはよく飲んだものです。もちろん懐かしくなって、味見させてもらっちゃいました。クメウ・リヴァーはシャルドネだけではなく、ピノ・グリもなかなか良いです。

さて次は生産者さんが自ら立つブースに来てみました。マーティンボローの“ジ・エルダー・ピノ(The Elder Pinot)”、名前の通りこちらのワイナリーではピノ・ノワールピノ・グリしか栽培しておらず、それぞれのワインとピノ・ノワールから造られたロゼだけのラインナップ。
ブースにて自らのワインを紹介する、ワインメイカーのナイジェル・エルダーさん。この日は2014年と2015年、ヴィンテージ違いのピノ・ノワールを持ってきていました。
飲み比べてみると、14年の方は結構厚みがあり、ふくよかな味わい。対して15年はよりクリアでエレガント、調和のとれた印象。確か14年のニュージーランドは4月くらいまで結構暑かった記憶があります。それが表れているのでしょうか、私はしっかりしたボディの14年好きですが、ナイジェルさんは15年の方なら、繊細な和食にも合うのではないかとおっしゃっていました。初めての日本訪問ということでとても楽しそうでした。

ヴィントナーズさんが輸入する“グレイワッキ(Greywacke)”、こちらも評価の高いワイナリーですね。ニュージーランドワインのアイコンの一つである“クラウディ・ベイ(Cloudy Bay)”で創業から25年間、チーフ・ワインメイカーとして勤めたケヴィン・ジュッド氏が立ち上げたワイナリーです。
まず通常のソーヴィニョン・ブラン、次にワイルド・ソーヴィニヨンと名付けられた、樽を使い野生酵母のみで発酵させたワインをテイスティング。両方に共通して感じるのは、自らが作ったクラウディ・ベイの味を、ある意味否定するかのような味わい。クラウディ・ベイは今となっては非常にわかりやすく果実味たっぷりでボリューミー、樽を使ったテ・ココ(Te Koko)も誤解を恐れずに言えば、いやらしいくらいのお化粧感を感じたものですが、グレイワッキのそれらは、非常にデリケートでエレガント、それによりワインの輪郭がくっきりし、複雑さも浮き上がってきます。そのあと試飲したピノ・ノワール、現地で毎週の様に足しげく通った、タカプナにあるワインショップのセミナーでも飲んだことがありましたが、滑らかな舌触りときめ細かさ、上品な質感で印象深い味わいの思い出が蘇ってきました。

おとなりのアプレヴ・トレーディングさんでは、こちらも思い出深い、以前のコラムでギズボーン訪問を書いた時にも取り上げた“ミルトン・ヴィンヤーズ(Milton Vineyards)”のシュナン・ブラン、そして品質の高いソーヴィニョン・ブランを造る、マールボロの“アストロラーベ(Astrolabe)”の味を再確認(笑)。これもよく飲みました。今回はこのアストロラーベ、より海側にある単一畑のソーヴィニョン・ブランも持ってきていて、塩っぽいミネラリーなニュアンスが印象的でした。

もはや思い出の味の再確認の場の様相を呈して参りましたが、その向かい側にもまた懐かしいエチケットが…。

“クロ・マルグリット(Clos Marguerite)”です。ある年オークランドで行われたフランスデイにて、このフランスにゆかりのあるワイナリーのオーナー夫人であるマルグリットさんが、自らブースにてワインの紹介をしていました。その時ピノ・ノワールを購入し、自宅にて楽しみましたが、マールボロの果実味のあるピノに、どこかフランスのエスプリを利かせたような落ち着きと清廉さが印象的でした。その後マールボロを訪問した時、クロ・マルグリットに行くつもりが、間違えてやはりフランスにゆかりのある“クロ・アンリ(Clos Henri)”に行ってしまったのも、懐かしい笑い話になりました。
フランスワインを主に扱っているオルヴォーさんが輸入元というのも、面白いですね。

ワイナリーが自ら各国に販売拠点を設立して攻勢をかけているのが、マールボロの“オートゥ(O:TU)”。日本法人のオートゥ・ジャパンが輸入販売を担っています。
ワイナリーが直接、現地に販売拠点を築くことで、中間マージンなどのコスト減につながるため、販売価格を抑えられるメリットがあります。今回、いろいろなブースでニュージーランドワインの販売戦略や見通しなどについてお話を伺ってみましたが、やはり皆さん決して安さを売りにしないニュージーランドワインについて、ある部分難しさも感じられているようです。ある程度の体力のあるワイナリーであれば、この様な形も一つの理想形になり得るのでしょう。ちなみにこちらは、ニュージーランドで株式を上場している3つのワイナリーのうちのひとつだそうです。

それに対して、今回日本のマーケットに打って出るべく、輸入元を募集していたのがマーティンボローの“ユリカー・エステート(Julicher Estate)”。マーティンさんとおっしゃるワインメイカーの方が紹介していました。なんでもこちらのヴィンヤードは深い谷のそばにあり、高い崖の上からは、女性は崖下を覗き見ることが出来るけど、男性は決して覗かないと面白おかしく話してくれました。
試した2種類のピノ・ノワールは、どちらもシルキーな舌触りとしっかりした質感を持つ、どちらかといえば男性的なピノでした。このピノ・ノワールの樹も崖下は覗けなくとも、しっかりと崖下まで根を伸ばしているのでしょうか。

現在、日本に輸入されているほとんどのニュージーランドワインが一堂に会しているといっても過言ではないこのイベント、私にとって懐かしい味もあり、新たな発見もあり、思っていた以上に色々なワインが入ってきているなと感じました。
一方で、日々わたしのお客様とお話ししていて思うことは、日本においてニュージーランドワインの存在感はまだまだ低く、あまり見かけることがないと言います。中には「ニュージーランドってワイン造ってるんですか?」なんていう方も。
これだけのバリエーションがあるのに、お店においてあるニュージーランドワインは大体どこも決まったものという部分も、少しもったいない気がします。個人的には安さを売りにする必要は全く無いと思いますが、これらのバリエーション豊かなニュージーランドワインが、もっと気軽に店頭で手に入れられるようになる日が来ることを願います。

この年に一度のニュージーランドワイン試飲会、私が参加した業者向けの試飲・商談会の後に、一般の部も用意されています。(有料・人数限定)
次回はぜひ皆さんも参加して、たくさんのニュージーランドワインを味わってみてください。

2019年6月掲載







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