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HOME > NZワインの魅力(コラム) > 第50回 新しいコルクの形〜ダイアム・コルク
ニュージーランドのワインにスクリューキャップが用いられるようになって、今年で6年が経ちます。2001年の6月まで、スクリューキャップを使用したワインがゼロだったのに対して、2002年末には14%、2004年には32%、2005年にはなんと、72%と飛躍。

そして現在では、ニュージーランドで造られるワインの90%に、この優れた栓方法、スクリューキャップ(ステルヴィン)が使われているのです。
すっかり定着したスクリューキャップですが、そもそも、なぜコルクが使われなくなってきているのか。ここでちょっとおさらいしましょう。


1. 天然コルク
天然コルクは、何世紀もの長い伝統を持ちますが、ワインをコルク汚染させてしまいます。コルク汚染は約12本に1本の割合で発生し、カビ臭においと味がワインに移り、ワインの最大の特徴である“香り”が全くない、つまらないアルコール飲料になってしまうのです。
これは、コルクがたくさん呼吸をすることによって起こる酸化と、天然素材であるコルクを消毒することで発生するTCAと呼ばれる科学物質が原因だとされています。


2. 合成コルク
プラスティックを原料とする合成コルクは、一見、天然コルクの欠点を埋める代替品として開発されました。でも実は、天然コルクに比べて締りが悪く、酸化を防ぐことができないことが発覚したのです。時間をおけばおくほど、酸素が瓶内に入り込み、より酸化が進むため、長期の保存には向いていません。さらに、プラスティックのにおいがワインに移ってしまうという苦情もしばしば。このような新たな欠点が見られ、救世主とはなりませんでした。

これらのコルクの抱える問題、酸化とTCAを完全にシャットアウトする、優れた方法として、ステルヴィンと呼ばれるスクリューキャップが、ここで登場したのです。最多受賞ワイナリーのヴィラ・マリアを筆頭に、45の名門ワイナリースクリューキャップ・イニシアチブの参加ワイナリーとして、賛同しています。

ただ、どんなにスクリューキャップが優れていると立証されても、やはり、コルク信仰主義が壊滅することはありません。これは消費者に限らず、生産者にも当てはまります。ニュージーランドでも、コルク汚染のリスクがありながらも、一貫して天然コルクを使用しているワイナリーもあります。また、スクリューキャップを主に用いりながらも、プレミアムワインだけにはコルクを、と言うワイナリーもあります。


3. ダイアム(DIAM)・コルク
ここで現代のテクノロジーは、このコルク信仰主義者たちの夢に、救いの手を伸ばしました。新しいスタイルのコルク、ダイアム(DIAM)コルクが開発されたのです。

ダイアム・コルクは、一見天然コルクのようにも見えますが、もっと近づいて見ると、無数の小さなダイアモンドのような形の、コルクの破片がくっつきあって出来ているような風貌をしています。
試しに、コーク・スクリューで開けてみると、おや、とても開けやすいではありませんか。おがくずも落ちないし、抜いたコルクの形もワイナリーの名前の焼印もスッキリときれいで、なんだか、未使用のコルクのような清楚な身なりをしています。

このダイアム・コルクって、一体何なのでしょう。何がどう良いのか、調べてみました。
ダイアム・コルクは、フランスのエネオ社と研究チームが共同で、「臨界二酸化炭素抽出法」という、なんだかややこしい方法を用いて、コルク原料内からコルク汚染の原因であるTCAを99%取り除くことに成功したとのことです。しかも、酸素透過性がちょうど良い。呼吸をしすぎて酸化を招いてしまう天然コルクの四百分の一だというのだから、大したものです。「3年のボトリング調査の結果」、または「18ヶ月にわたる比較試飲の結果」、「コルク汚染の心配がまったくない、夢のコルクの登場」だと英、豪、米の一部のメディアでうたわれています。

一方ニュージーランドでは、名門ワイナリーのユニソンや、ミッション・エステート、ドメーヌ・ジョージ・ミッシェルなどが、ダイアム・コルクを使用していますが、スクリューキャップが9割の普及率を誇るこの国では、ダイアム・コルクのことを良く知らない、中には、その存在さえ知らないワイナリー、醸造家、ソムリエもいるほどです。本当に新しい技術なので、無理もないですが。

私の、大のお気に入りワイナリーのひとつ、クラッギー・レンジ・ワイナリーの担当者、ジェニーンとお話をする機会があったので、聞いてみました。このワイナリーでは、 7割以がスクリューキャップ、残りが(最高品質の)天然コルク、ダイアム・コルクに関しては、今後試験的に採用するとのことです。「ダイアム・コルクの有効性は理解しているし、優れていると思う。でも、どんなに効果があると研究結果が出ても、数年、数十年という、長い時間を経ないと、本当の意味で立証できないよね」とジェニーン。いやはや、ワインの科学も奥が深いですが、ワインを美味しく保つパッケージの科学も奥が深そうです。

ダイアム・コルク支持者たちは、スクリューキャップの欠点を突っつき、スクリューキャップ信仰派は、ダイアム・コルクの粗探しをします。両者とも、まだ10年以下の新参者です。ワインの歴史に比べたらまだほんの赤ちゃん。ジェニーンの言うとおり、数十年の時間を経て初めて、答えが出るのだと思います。その前に、また新しいスタイルのコルクが開発されるかもしれません。
2007年7月掲載


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